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男「春だなぁ」妹「春だねぇ」
1 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/12(土) 23:26:49 ID:iNKQnE46
男「良い天気だなー……」

妹「そうだね……」

男「……」

妹「……」

男「……」

妹「……」

男「……いかん、このままでは馬鹿になる」

妹「春だから仕方ないよー」

男「何か始めようぜ。 春は何かを始めるにもってこいの季節だ」


2 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/12(土) 23:35:55 ID:iNKQnE46
妹「何かって?」

男「なんでもいい。 新しい趣味的なものを始めよう」

妹「なんでまたいきなりそんな」

男「さっきも言ったろ。 春だからだ」

妹「うーん……めんどくさぁ……」

男「春の陽気は馬鹿に拍車をかける。 何もせず縁側でゴロゴロしてると取り返しがつかなくなるぞ」

妹「いやーそんな馬鹿なぁ」

男「知能指数が10は落ちる。 お前これ以上馬鹿になったらヤバイぞ」

妹「失礼な」

男「九九言えるか? 七の段とか難しいんじゃないか?」

妹「……九九って何だっけ」

男「末期だな」


3 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 00:26:08 ID:H2iXBgq6
妹「冗談だよー」

男「いやわかってるよ」

妹「七の段は言える。 問題は六の段だ」

男「ろくし?」

妹「28」

男「よし、高校辞めろ」

妹「えーまた中学生やるの?」

男「小学生からだ」

妹「空色のランドセルがいいなー」

男「いい天気だなー」

妹「いい天気だねー」


4 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2014/04/13(日) 00:29:02 ID:NtpJ.gFc
ほのぼの期待


5 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 00:51:26 ID:H2iXBgq6
男「何か始めようぜー」

妹「うーん……あ、もうすぐお昼だね」

男「そうだな」

妹「ご飯食べよう!」

男「急に元気になったな」

妹「そこの公園、桜咲いてたよね? お弁当作るからそこで食べようよ!」

男「花見かー春らしいな」

妹「春は春らしく春じみた事をしなくちゃ!」

男「黄色のハチマキ持ってるぞ。 着ける?」

妹「ヤダ。 臭そう」


6 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:01:36 ID:H2iXBgq6
妹「何食べたい?」

男「うーん……春菊!」

妹「一応言っとくけど、春菊の旬は冬だよ?」

男「えっ、そうなの!?」

妹「花を咲かせるのが春ってだけで」

男「うーん……じゃあ鰆とか」

妹「鰆の旬も春に限らないよ。 回遊魚だから地域によって沢山穫れる時期は違うんだ」

男「えー……」

妹「冬の鰆は脂がのってて美味しいそうな」

男「……弁当は任せるよ」

妹「はいよー」


7 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:17:00 ID:H2iXBgq6
━━
━━━
━━━━

妹「お弁当出来た!」

男「お、じゃあ行くか」

妹「うん!」





男「結構花見してる人いるなぁ」

妹「賑やかでいいねー」

男「とりあえずビールくれ」

妹「はい」


8 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:24:09 ID:H2iXBgq6
妹「私にも一口ちょーだい」

男「お前高校生だろ。 駄目」

妹「ケチ」

男「春に桜を見ながら飲む酒は美味いなぁ」

妹「夏は星」

男「秋は満月」

妹「冬は雪」

男「飛天御剣流でも修得するか」

妹「るろうにはやめてね」


9 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:31:09 ID:H2iXBgq6
男「弁当くれ弁当」

妹「あ、はい」

男「……なんじゃこりゃ」

妹「千切りした春キャベツ!」

男「……ロールキャベツとか、キャベツ使った料理は他にもあっただろう」

妹「春キャベツはこうやって食べるのが美味しいの! これがベスト!」

男「あ、うめぇ」

妹「でしょう!」

男「でもこれはお前の料理が美味いんじゃなくて春キャベツが美味いんだよな」

妹「素材の味を生かすのも料理人の腕ですよ」

男「素材まんまじゃねぇか」


11 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:44:19 ID:H2iXBgq6
妹「ちゃんとしたのも作ってきてるよ。 はい」

男「お、炊き込みご飯だ!」

妹「うん。 たけのことそら豆のね」

男「春だなぁ!」

妹「春でしょう」

男「うめぇ!!」

妹「それは良かった」

男「あ、お前良いモン食べてるな」

妹「お兄ちゃんアスパラ好きだっけ?」

男「大好き」

妹「あれ? 昔嫌いだったような……」

男「今は好きなの! 俺にもアスパラくれ」


12 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 01:53:47 ID:H2iXBgq6
妹「お兄ちゃん食べないと思ってたからこの一本しか持ってきて無いんだよね」

男「えー……」

妹「帰ったら茹でたげるよ。 これは譲らない」

男「アスパラでポッキーゲームってどう思う?」

妹「シュールだなぁ」

男「ポッキーゲームって棒状の食べ物だったら成り立つよな」

妹「ししゃもでポッキーゲーム!」

男「ごぼうでポッキーゲーム!」

妹「合コン向きじゃないね」

男「そうだな」


13 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 02:14:19 ID:H2iXBgq6
男「お前合コンしたことあるの?」

妹「合コンって何?」

男「合法コンサート」

妹「非合法なの行ってみたい」

男「合理的コンプライアンス」

妹「理想的じゃん」

男「豪傑コンシューマー」

妹「経済が回るね」


14 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 20:46:51 ID:H2iXBgq6
男「お、向こうで歌歌い始めたな」

妹「楽しそうだね」

男「そうだな」

妹「私も歌おう」

男「いいね」

妹「あーわーきー光立つにーわーかあめー」

男「春はもう来てるぞ」

妹「沈丁花ってどんな花?」

男「知らね」


15 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 20:59:51 ID:H2iXBgq6
妹「はるのうーたぁーあーいーときーぼうよりーまーえにーひーびくー」

男「……なんか見られてる気がするぞ」

妹「え、うるさいかな?」

男「いや周りの方がうるさいし……」

おっさん「おう嬢ちゃん。 綺麗な歌声してんな」

妹「えっ」

おっさん「皆聴き入ってたぞ。 良いもん聴かせてもらった」

妹「え、お金なんかいただけません!」

おっさん「路上で歌えばチップを貰えるもんだ。 気にせずとっとけ」

妹「え、え」

おっさん「引き続き歌ってくれや。 じゃあな」




男「……お前すげぇな」

妹「す、すごく恥ずかしい……」


16 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:07:43 ID:H2iXBgq6
男「じゃあ引き続きどうぞ」

妹「も、もうやだ」

男「なんでだよ」

妹「恥ずかしいから」

男「さっきまで平気で歌ってたじゃん」

妹「誰も聴いてないと思ったの! まさか注目されてたなんて……」

男「いいじゃん。 良い歌だってことなんだから」

妹「そ、それは嬉しいけど……」

男「俺もお前の歌もっと聴きたいな」

妹「え」

男「久しぶりなんだもん。 お前の歌聴くの」

妹「お、お兄ちゃんがそう言うなら……」

男「頼むよ」


17 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:13:09 ID:H2iXBgq6
妹「さーくらーのはーなびーらちーるたーびにー」

男「チップはこちらにお願いしまーす」




妹「春なのにーお別れーですかー」

男「あ、こら撮影禁止!!」




妹「さーくーらーがーさーくーよー みなれーたいつものさかーみちにー」

男「こちらに並んでお聴きくださーい」


18 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:22:21 ID:H2iXBgq6
妹「お、お兄ちゃん……疲れた……」

男「皆さんありがとうございましたー。 妹が限界なのでこれにてお開き!!」






男「おい! チップ一万超えてるぞ!!」

妹「お兄ちゃんまさかその為に歌わせたの……?」

男「いやいやあくまで俺が聴きたかったからだって。 お、ラブレター入ってんぞ」

妹「え、ど、どうしよう」

男「好きにしたらー? お前にも春が来たかー」


19 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:25:42 ID:H2iXBgq6
妹「いや付き合う気はまるでないんだけど……」

男「そうなの?」

妹「ラブレター渡すような男は女々しいと思うから」

男「ふーん」

妹「第一顔も知らないし……」

男「じゃあ無視すりゃいいじゃん」

妹「でもそれも相手に悪い気がする……。 断りのメールだけ入れようかな」

男「捨てアドにしとけよ」

妹「よくわかんないからお兄ちゃん教えて」

男「しゃーねーな」


20 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:29:50 ID:H2iXBgq6
妹「それにしても、私の歌って凄かったんだね!」

男「お、調子に乗ってるな」

妹「人前で歌う気持ちよさを知ってしまった……」

男「そりゃあんだけ盛況だったらな」

妹「バンドでも始めようか!」

男「いいねー」

妹「私ボーカル!」

男「俺ベース!」

妹「これはバンドとは言わないね」

男「そうだな」


21 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:36:54 ID:H2iXBgq6
男「弾き語りならいいかな?」

妹「アンプでベース鳴らしたら一発で通報されるよ」

男「アコースティックベースというのがあるんだよ」

妹「へぇ」

男「ベースとボーカルのみってどう思う?」

妹「うーん……それ以前に、やっぱり路上で歌うのは恥ずかしい」

男「今日は平気だったじゃん」

妹「今日だって恥ずかしかったよ! 周りがお祭りモードだったからまだ平気だっただけ!」

男「 良い小遣い稼ぎになると思ったのに」

妹「やっぱり狙いはそれか! 絶対やらない!!」

男「残念」


22 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:46:15 ID:H2iXBgq6
男「じゃあ何始めようかー」

妹「何か始めなきゃダメなの?」

男「春だからね」

妹「うーん……」

男「釣りでも始めるかー」

妹「なんかジジ臭いなぁ」

男「それは偏見だぞ。 釣りは釣り上げたとき、得も言われれぬカタルシスがあるんだぞ!」

妹「お兄ちゃん釣りしたことないじゃん」

男「まぁね」

妹「私ゴカイを触れる気がしない」

男「別にルアーでいいじゃん」

妹「道具揃えるお金あるの?」

男「無いな」

妹「ダメじゃん」


23 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 21:58:43 ID:H2iXBgq6
男「あ、じゃあお前もバイク乗ろうぜ」

妹「免許取るお金無い」

男「原付免許なら一万あればお釣りがくるぞ」

妹「原付ー?」

男「あ、お前原付馬鹿にしてるな?」

妹「馬鹿にはしてないけど趣味って感じじゃないよね」

男「原付には原付の良さがあるんだぞ。 原付でのツーリングものんびりしてていいもんだ」

妹「でも原付じゃお兄ちゃんのスピードについてけない」

男「合わせてやるよ。 俺もそんな速いバイク乗ってるわけじゃないし」

妹「でも原付買うお金が無いよ。 十万くらいするんでしょ?」

男「新車ならな。 ちょうど中免とった知り合いがいるんだ。 多分原付手放すだろうから、安く譲ってくれると思うぞ」

妹「うーん……じゃあ原付手に入りそうなら免許取りに行くよ」

男「そうこなくちゃ!」


24 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:05:08 ID:H2iXBgq6
男「……桜、綺麗だな」

妹「本当に……」

男「……絵でも描きたくなるな」

妹「お兄ちゃん絵下手くそじゃん」

男「俺のは味があるんだよ」

妹「どうだか……」

男「絵、始めるか」

妹「あー、水彩なら私が学校で使ってる画材はあるしいいかもねー」

男「よし、ちょっと一式取ってくる」

妹「行動早いね。 いってらっしゃーい」


25 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:10:04 ID:H2iXBgq6
男「取ってきた!」

妹「よし、描くぞー!!」




男「あ、垂れた!!」

妹「水混ぜ過ぎだよ」




男「上手く延びない」

妹「水少なすぎだよ」




男「出来た!」

妹「私も!」


26 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:13:55 ID:H2iXBgq6
妹「お兄ちゃん、何それ……」

男「桜と青空に決まってんじゃん」

妹「ピンクと青の色水をぶちまけたようにしか見えない……」

男「そういうお前はどうなんだよ」

妹「はい」

男「……俺絵のことはよくわかんないけど、鮮やかだなぁ」

妹「いちゃもんつけといてなんだけど、私もよくわかんない」

男「よくわかんないけど、俺この絵好きだ」

妹「ありがとう! 私はお兄ちゃんの絵嫌い!!」

男「はっきり言うなぁ」


27 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:21:23 ID:H2iXBgq6
男「走ってる人がいる」

妹「今の季節ランニングにもってこいだよね」

男「何が楽しくて走るんだか……。 ランニングしてる奴は皆マゾだ」

妹「えー? 走るの楽しいよ?」

男「そうか、お前はMだったのか」

妹「私はどっちかというとS。 何言わせんだ!!」

男「お前が勝手に言ったんだろ」

妹「ランニングは痩せるし気持ちいいしタダだし、良いこと尽くめだよ!」

男「気持ちいいだと? 俺は苦しい思い出しかないね」


28 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:26:08 ID:H2iXBgq6
妹「確かに苦しいけど、それ以上に充足感があるんだよ!」

男「やっぱりお前マゾだろ」

妹「違うって! 走ってるとさ、場所によって空気が違うのがわかるんだよ」

男「へぇ」

妹「ちゃんと聞け! 匂いや温度差、町並みの雰囲気、それらの移ろいが肌で感じられるんだよ!」

男「いまいちピンとこないな」

妹「そんで走った後のお風呂!! これがまた最高なんだ!!」

男「それはちょっとわかる」


30 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:29:47 ID:H2iXBgq6
妹「お兄ちゃん煙草もお酒も嗜むんだし、少しは健康的なことをしてもいいんじゃないかな」

男「喫煙者がランニングとかそれこそ死ぬ」

妹「人間そんなに脆くないよ。 今度一緒に走りに行こう!」

男「気が進まないなぁ」

妹「ダメ! 一緒に走るの!!」

男「……ちゃんと俺のペースに合わせてくれよ?」

妹「もちろん! そろそろお兄ちゃんもお腹出る歳だからね! 運動は大事!」

男「ほっとけ」


31 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:34:05 ID:H2iXBgq6
男「あ、ツバメが飛んでる」

妹「春だしね」

男「どこに巣作ってるんだろうな」

妹「追いかける?」

男「追いかけてみるか」





男「見失った」

妹「速い……」

男「近くまで来たし、トイレ行ってくるわ」

妹「いってらっしゃーい」


32 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:38:55 ID:H2iXBgq6
男「妹!! いたぞ!!」

妹「え?」

男「ツバメの巣見つけた!」

妹「ホント!?」




男「なにも公衆便所に作らなくてもな」

妹「雛はまだ見えないね」

男「もうすぐだろ。 また今度見に来よう」

妹「うん!!」


33 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2014/04/13(日) 22:40:18 ID:H2iXBgq6
男「バードウォッチング始めるのもいいかもなぁ」

妹「お兄ちゃん早起き出来ないじゃん」

男「……無理か」

妹「うん」



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