■戻る■ 下へ
妖狐姫「わらわの座椅子となるのじゃ」
242 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:02:17.59 ID:eTYrdAXz0
………………

祝言当日…大勢の人たちが屋敷に集まった。

天候は晴れ…だが同時に雨も降っていた。
あの日と同じ天気だ。

てんこ「皆様…本日は私たちの街の領地主である妖狐姫様の祝言に集まって頂き、誠にありがとうございます」

大勢の人たちの視線が俺たち二人に向けられていた。

緊張感がすごい…。
そして初めて屋敷の一室が狭く感じた。


243 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:02:50.80 ID:eTYrdAXz0
しかしふと隣を見ると美しい花嫁衣装に着飾った妖狐姫は凛としていて落ち着いていた。

男(ああ…)

彼女は、狐耳も尻尾もない俺と結婚することに何一つ卑屈な様子を感じさせなかった。

俺という存在と結婚できるということを誇りに思ってくれている…そんな顔をしていた。

彼女の堂々とした様子に、俺も釣り合わなければと思った。


244 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:03:32.72 ID:eTYrdAXz0
男(胸を張れ!俺!)

俺の結婚する人は…ただでさえ広い世界を突き抜けて、そしてさらに数ある世界の一つから、俺のいた世界、俺のいた場所の…俺を選んでくれたんだ…

男(こんな幸せなこと、他にないぞ…)

それは確かに偶然かもしれない。

もしかしたら数ある世界の中に俺よりもすごい座椅子の達人がいたかもしれない。

男(…というかマジのマッサージ師の人とか絶対すごいだろ)

それでも、今は何となく思うんだ。

彼女とこの場所に並べたのは、やっぱり俺だけなんじゃないかって…

根拠なんて、ないんだけどさ…



245 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:04:03.25 ID:eTYrdAXz0
溢れかけた嬉し涙は全力で引っ込めた。

キョロキョロとだらしなく目を動かすのをやめて真っ直ぐと前を見た。

そして無言で主張した。


俺がこの街の領地主妖狐姫の…



『座椅子』だ




246 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:04:39.81 ID:eTYrdAXz0


宴は朝から夕方まで続いた。




247 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:05:17.45 ID:eTYrdAXz0
シエン「あっしは剣の修行の中で恐怖を切り捨てたつもりだったが…今は男殿が恐ろしく感じる…」

シエン「機会があればぜひ修行に付き合ってほしい…その魔の潜む膝にあっしを乗せてくだされ」

男「あはは…」

男(いや、勘弁してください…)


248 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:05:52.94 ID:eTYrdAXz0
…………

しらこ「もし姫君に愛想をつかされたときはいつでもボクのところにくるといいよ」

しらこ「待ってるからさ!」

男「縁起でもないこと言わないでくれよ…」


249 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:06:21.47 ID:eTYrdAXz0
…………

くろこ「兄ちゃん!またなんかあったときは乗せてやるぞ!」

男「あー…またなんかあったときは頼むわ」

男(できることならもう二度と乗りたくない)


250 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:07:43.69 ID:eTYrdAXz0
…………

ヤオ「…これからもくぅこのことを頼む。…また敵同士となったときは別だが」

男「あんた来てたのか…」

ヤオ「風の噂でくぅこが生きていると聞いて様子を見に来た」

男「…招待状は?」

ヤオ「ふん…某の手にかかれば侵入など造作もない」

男「おい」


251 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:08:23.62 ID:eTYrdAXz0
…………

てんこ「随分と気を張っていたな。疲れたんじゃないのか?」

男「まあ、そうですね」

てんこ「お疲れ様だな…貴様のお陰でこの日、姫様は望んだ幸せを手にすることができた。感謝しているぞ」

男「ありがとう…ございます…」


252 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:09:02.92 ID:eTYrdAXz0
てんこ「ん?あのときもそうだったが、私から礼や賞賛の言葉が送られるのはそんなに不自然か?」

男「まあ正直、嫌われていると思っていたので」

てんこ「む…当たり前だ!貴様は私から姫様をさらっていったんだからなっ!最初はなぜこんな男をと本当に殺してやりたい気分だったぞ」

男「で、ですよね」

てんこ「しかし…今はもう貴様は何処にだしても恥ずかしくない男に成長したと思うぞ」

てんこ「姫様の言葉を押しのけて隣街の屋敷に来たときは…その…かっ、格好良かった…ぞ…?」

てんこ「私はあのとき、心の中では貴様が屋敷に来てくれないかとも思っていたんだ…まさか本当に来てくれるとは思わなかったよ」


253 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:09:41.10 ID:eTYrdAXz0

男「てんこさん…」

てんこ「だがあの洒落だけはいらなかった。まったく…この世の終わりかと思ったぞ」

男「すっ、すみませんでした」

男(あれだけは俺も無かったと思う)

てんこ「まあ、何はともあれ…これで正式に貴様はこの家を支える者の一人となったのだ。頼りにしているぞ…」


てんこ「旦那様…」




254 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:11:09.16 ID:eTYrdAXz0
…………

男「…くぅこ、大丈夫か?」

宴が全て終了して片付けも終わった後、俺は俺とくぅこの寝室に顔を出していた。

くぅこ「主殿…すまぬでごじゃるよ。こんなめでたい日に主殿を宴の場で祝うことができなくて…」

男「別に気にしてないよ。仕方ないさ」


255 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:12:16.70 ID:eTYrdAXz0
くぅこ「では改めて…。主殿、姫様とのご結婚…お祝い申し上げるでごじゃる」

男「ありがとうくぅこ…」

くぅこ「本当にめでたいことでごじゃるよ〜…本当に…本当に…あ…れ…?」

祝いの言葉を口にするまでは笑顔のくぅこだったが、その後彼女の瞳からはぽろぽろと涙が溢れ始めた。


256 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:12:54.12 ID:eTYrdAXz0
男「…くぅこ?どうした!?どこか痛むのか!?」

くぅこ「そんなことは…ないでごじゃる…」

くぅこ「そんなことは…ないはずでごじゃる…これはきっと…嬉し涙でごじゃるよ…」

くぅこ「だのに…主殿ぉ…」

くぅこ「どうしでっ…こんなにも…胸が苦しいでごじゃるか…?」

男「くぅこ…」

俺はできるだけ優しく、くぅこを抱きしめた。


257 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:13:41.91 ID:eTYrdAXz0
くぅこ「うっ…うぅ…主殿…主殿ぉ…」

男「俺、何度だって言うよ」

男「俺は…くぅこのことも大好きだよ…」

男「くぅこの為ならこの命が惜しくないくらい、くぅこが大好きだよ…」

くぅこ「かたじけにゃい…せっしゃも…主殿のためならこの命惜しくないでごじゃるっ…」

男「だからこれからもくぅこの身に何かあったときは俺がくぅこを護る…」

くぅこ「主殿の身に何かあったときはせっしゃが主殿を護るでごじゃるよ…」

男「座椅子屋ではないけどさ」



「これからも、ずっと一緒だ。くぅこ…」





258 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:14:27.64 ID:eTYrdAXz0
………………

妖狐姫「…祝言の日に浮気とは、とんでもない奴じゃのう」

部屋を出ると襖を背にして妖狐姫が腕を組んでいた。

男「うわっ!…聞いてたのか?」

妖狐姫「まったく、少しは身の程を知らんか」

妖狐姫「…唾をつけるのはくぅことてんこだけにしておけよ」

男「…心得ておきます」

なんというか、これからは物理的だけじゃなくて精神的にも妖狐姫の尻に敷かれそうだ…。


259 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:14:57.99 ID:eTYrdAXz0

妖狐姫「浮気した罪はその都度たっぷりとわらわに還元してもらうからな」

男「はいはい」




260 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:15:34.06 ID:eTYrdAXz0
俺のあちらの世界での人生は終わった。
いや、具体的には俺が勝手に終わらせてしまったと言う方が正しいか。

あちらの世界での俺の大きな失敗は、多分誰かのために生きようとしなかったことだと思う。

常に保守的で、自分にとって負担となりうることは全て避け続けた結果、俺の周りには誰もいなくなっていた。

だから今やっと始まったこの世界での人生は、妖狐姫のため、くぅこのため、てんこさんのため…そしていつかは、街のみんなのために生きていこうと思う。

その先に、あちらの世界では手に入れることができなかった、本当の幸せがある気がするから…


261 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:21:23.07 ID:eTYrdAXz0
妖狐姫「男!わらわの部屋へ戻るぞ」

頭をかきながらゆっくり縁側を歩き出すと妖狐姫は振り返って俺を急かした。

妖狐姫「はよう!」










262 名前:SS速報VIPがお送りします [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:21:56.80 ID:eTYrdAXz0





妖狐姫「わらわの座椅子となるのじゃ!」






おわり


263 名前: ◆hs5MwVGbLE [saga] 投稿日:2017/03/14(火) 19:22:47.03 ID:eTYrdAXz0
これにておしまいです

ここまで読んでくださった方はありがとうございます

(-ω-)


264 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/14(火) 20:31:36.05 ID:nLPSffXQO
で、どうやればケモミミハーレムの世界へいけるんだい?

おつ


265 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/14(火) 20:48:54.00 ID:yGFtZFkqO

1日モフモフしてるだけでいい世界なんていきてーなー


266 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/14(火) 21:38:46.96 ID:Hmb9MhWx0


姫さまも好きだけどやっぱりくぅこが一番ラブリーでした


267 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/14(火) 21:46:25.98 ID:Dpbu9y+Ao
おつ
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ


268 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/14(火) 23:51:25.87 ID:mgQ/j/aA0

てんこも座らせてやれよ…


269 名前: ◆hs5MwVGbLE [saga] 投稿日:2017/03/15(水) 00:14:44.48 ID:j3mtIPfg0
乙レスありがとうございまする

需要があればまた今度Rの方でおまけ集みたいなスレ立てます

てんことイチャつく話や
くぅこあふたーをメインに考えています

もしくぅことの座椅子屋生活を選んだら…っていう話もいいかもしれませんね


こんなお話が見たい!っていうのがあったらそちらも参考にします。

ではまた何処かでお会いしましょー


m(-ω-)m


270 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/15(水) 00:32:37.25 ID:Tlm/lc9Wo
しらこが手のひら返すのにもう一捻り欲しかったかも
実はしらこは女の子でしたとか


271 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/15(水) 01:33:11.38 ID:A6WNYfTVO
良かったんだけど、くぅこの方がメインヒロインに見えて仕方ないw


272 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/15(水) 09:28:26.89 ID:RQ/yqkYBo
>>269
くぅこの話需要あるからぜひ書いてほしいな


273 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/15(水) 21:51:38.46 ID:XdDifW/KO

くぅこが可愛くて仕方ないな


274 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/16(木) 10:10:30.52 ID:IZACPJbBo
誘導もしてほしいなここ残ってたら


275 名前: ◆hs5MwVGbLE [saga] 投稿日:2017/03/18(土) 21:05:19.93 ID:DLMrlCMO0
妖狐の国の座椅子あふたー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1489838467/



おまけ

ちょっとずつ更新します


276 名前:SS速報VIPがお送りします [sage] 投稿日:2017/03/21(火) 19:34:40.65 ID:jmJQlXCwo
追いついた
乙、今作もよかった!座椅子要素でなんとかするっていう所がまた良かった
Rも期待してます



次へ 戻る 上へ