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妖狐の国の座椅子あふたー
150 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 03:58:52.80 ID:FayaPCLc0
………………

てんこ「もーしわけありませんっ!姫様っ!」

しかしまぁ落ち着いてみるとやはり恥ずかしくなるもので…

私は恥ずかしさと申し訳なさに畳に土下座していた。

妖狐姫「ごほんっ…まあよい。どうせ汚れた衣服を何とかするのもうにゅの役目なのじゃからな…表をあげるのじゃ」

てんこ「はぁ…」

妖狐姫「しかしなんじゃ…そのようなことを考えてしまう辺りうにゅも相当疲れておるの。くぅこと同じじゃな…うにゅにも多少なりとも癒しが必要じゃろう」


151 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:00:31.90 ID:FayaPCLc0
妖狐姫「うにゅにはわらわの知るこの世で最上級の極楽を与えてやろう」

てんこ「い、いえ私にはそのようなものは…!」

とは言っても私も生きる者…姫様の思う最上級の極楽…

てんこ(全く気にならないわけではないが…)


152 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:01:17.76 ID:FayaPCLc0
妖狐姫「本日わらわが眠る間の一夜だけ、座椅子を貸してやろう」

てんこ「は…?」

私は瞬間固まった。

てんこ(それは…この私が旦那様の上に座るということか…?)

想像できない。

妖狐姫「うにゅがそのような落ちた気分になってしもうたのはわらわとの関わりが遠のいたように感じたからじゃろう?」

てんこ「確かにその通りですが…それと旦那様にどのような関係が?」


153 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:02:09.44 ID:FayaPCLc0
妖狐姫「まだ気付かぬのか。わらわとうにゅが遠のいたのではない。うにゅと座椅子がまだ遠い関係にあるということじゃ」

てんこ「私と旦那様が?」

妖狐姫「うにゅと座椅子はこの同じ屋敷に住まう者でありながらまだ完全に打ち解けてないと見える。よい機会じゃ、世間話でもして今晩にて溝を埋めてみてはどうじゃ?」

妖狐姫「そのように不安がる必要なぞない。わらわも稀にあやつに座りながらあやつの世の話を聞くのじゃが」



妖狐姫「…案外楽しいものじゃぞ?」




154 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:02:54.15 ID:FayaPCLc0
………………

てんこ「…と、いうわけだ」

そしてついに夜が来てしまった。
私は旦那様を部屋へ呼んだ。

男「へ、へぇ…そうなんですか…」

旦那様といえど殿方

てんこ(姫様の提案とはいえ自分から殿方を寝室に招いたことなど初めてだっ…)

私は変に緊張していた。

落ち着けず不自然に天井へと目をやってしまう。


155 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:03:33.53 ID:FayaPCLc0
てんこ(くぅこぉ…どうせ何処かに隠れているのだろう?どうせなら降りてきてはくれないのか?)

気配すら感じ取れないくせにくぅこに助けを求めてしまった。

男「とりあえず…座りますか?」

旦那様も少し困惑した顔のままだったが座布団の上に胡座をかいた。

てんこ「あ、あぁ…」

私も立ち上がり旦那様の方へ歩く。
旦那様に尾の方を見せ、ゆっくりと腰を下ろしていく…

私のお尻が旦那様の膝椅子に収まった。


156 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:04:10.69 ID:FayaPCLc0
しかしだ、姫様やしらこ様と違って私は身体の大きさが違う。
微妙に収まらない身体は徐々にずれていってしまう。

男「おっとっと」

てんこ「はうっ!?」

突如旦那様が私の腹に腕を回して抱き寄せた。

男「あっ!すみませんっ!」

てんこ「あ、いや…私こそすまない…」

それから私たち二人はすっかり固まってしまった。

旦那様もこのような状態で何を話せばいいのやらと困っている様子だ。


157 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:04:38.55 ID:FayaPCLc0
てんこ(そういえばこうして座った後は…)

てんこ「…撫でるのではないのか?」

男「うぇっ!?え、えぁ…頑張ります…」

男「まあ俺も日々精進してるんで、お客様用もバッチリですよ。…多分」

てんこ(お客様用…)

その言葉が何処か引っかかった。


158 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:05:18.50 ID:FayaPCLc0
てんこ「私は…お客様ではないぞ…」

男「え?」

てんこ「私は…私もっ!旦那様と同様のこの屋敷の者なのだ!」

てんこ「だ、だから…だから…」

声は詰まり続け上手く言えない…
上手く説明できないが…

てんこ(嫌だ…嫌なのだ…)

『お客様』では…

男「てんこさん…?」

目を強く瞑って捻り出すような声で言った。


159 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:06:02.23 ID:FayaPCLc0
てんこ「私もっ!姫様と同じように愛でて欲しいぃっ!」

男「は…?え…?は…?」

てんこ「…駄目だろうか?」


160 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:06:47.36 ID:FayaPCLc0
恐る恐る後ろを見ると旦那様は豆鉄砲を食らった鳥のような顔をしていたが、やがて真剣な面持ちになって言った。

男「難しいかもしれないけど…やってみます…」

てんこ(難しい…か…)

てんこ「何故難しいのか、理由を聞いてもよろしいか?」

男「あー、俺いっつも妖狐姫を撫でるときは可愛いものを愛でるって感じなんですけど」

男「てんこさんは可愛いって感じじゃなくて…そう、大人の女性って感じで、美しいって感じだから…」

てんこ「う、美しい!?」

まさか旦那様からそのような目で見て貰えていたとは…

てんこ(…素直に嬉しくはあるが)

てんこ「そうか…礼を言う…」

またも小声になる。
さっきからずっと調子を狂わされている気がする。


161 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:07:25.68 ID:FayaPCLc0
男「あ、でも今のは可愛かったです」

腹に回されていた片方の腕が頭へと移動した。

頭の上で旦那様の手のひらが動く。

てんこ(確かに…柄ではないな…)

だがそこには同時に確かな安らぎも存在した。

てんこ(落ち着く)

目を閉じればそのまま睡魔に飲み込まれてしまいそうなほどの癒しを感じる。

てんこ(これが姫様の思うこの世で最上級の極楽)

てんこ(ああ…今なら羞恥心など放り捨てて何でも喋ってしまいそうだ…)

立派な美酒を飲んで心地よく酔っているときと同じような感覚だ。


162 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:08:02.19 ID:FayaPCLc0
男(お、尻尾が揺れてる)

てんこ「…旦那様は私のことはお好きか?」

男「なっ!?」

旦那様の手が止まってしまった。
言い方が悪かったな。

てんこ「深い意味ではないんだ」

てんこ「前に旦那様は私から嫌われていると思っていたと言っていたな。あれを聞いてからな、少しその逆も考えてしまうんだ」

てんこ「私からの当たりが厳しすぎてむしろ私が旦那様から嫌われてしまっているのではないのかとな」


163 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:08:40.39 ID:FayaPCLc0
男「いや!そんなことは全然…」

てんこ「先に言っておこう。私は旦那様のことが好きになってきたよ」

男「え」

てんこ「私たちはどちらもこの屋敷に住まう者、姫様にとって無くてはならない存在…」

てんこ「姫様もくぅこも合わせて、私たちは血こそ繋がってはいないが家族なんだよ」

てんこ「つまらぬ嫉妬の情に流されてそんな大事なことも私は忘れていたのかもな」

てんこ「姫様に私と旦那様の間にある溝を指摘されてな、ここではっきりさせておきたいんだ」

てんこ「もし私に今も苦手意識があるならはっきり言ってくれ、これから好かれるように努力する」


164 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:09:15.65 ID:FayaPCLc0
男「…俺は」

私を抱く旦那様の腕に少し力が入った。

旦那様は顔を私の耳元に持ってきて呟いた。

男「嫌いな奴を膝に乗せてこんなに強く抱きしめたりはしません…」

てんこ(へ…)

男「今はもうそのくらいには…俺もてんこさんのこと、好きですよ」


165 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:10:03.82 ID:FayaPCLc0
てんこ「ふぇ?え…ぇ…」

自分でも分かるくらい顔が熱くなっていくのを感じる…

てんこ(ついさっきまではどんな恥ずかしい言葉を並べたって平気だったのにっ!)

頭を撫でる手が止められたからだろうか、完全に醒めてしまった。

男「あ、俺も深い意味ではないですよ?」

てんこ「くっ、あ…わ、分かっているっ!!」

てんこ「ぬ〜!ああああああああ!!!」

てんこ(なんだこれはなんなのだこの気持ちはっ!)

よくわからない胸騒ぎがする


166 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:10:38.96 ID:FayaPCLc0
男「てんこさん!?」

嬉しいような恥ずかしいような…しかしそれらとはもっと違うような…

とにかく今はあの酔いしれた頭に戻りたい

私は旦那様の膝の上でじたばたと身悶えながら懇願した。

てんこ「も、もう一度!頭を撫で回してくれっ!今度は尻尾も頼むっ!」

男「あ…はい…」

その後旦那様に身を任せっきりとなった私は結局彼の上で寝息を立てることとなってしまった。


167 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:11:24.49 ID:FayaPCLc0
………………

てんこ「はっ!」

私は布団から飛び出すように身体を起こした。

てんこ「もう朝か」

てんこ「そうか…私はあのまま…む、旦那様は…」

部屋中を見渡すも当然旦那様の姿は無かった。

てんこ「はぁ…」

てんこ(そもそも私がわざわざ布団に入れてもらっているのだ。当たり前だろう)


168 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:11:53.58 ID:FayaPCLc0
旦那様のことを考えると昨晩のことを思い出してしまう。


…………………………………………

『今はもうそのくらいには…俺もてんこさんのこと、好きですよ』

…………………………………………


てんこ「う…」

てんこ「あぁぁぁぁ!」

わしゃわしゃと髪をかき回して無理やりにでも忘れようとするもあのときのなんともいえない気持ちが胸を離れない。

てんこ「うぅ〜…」


169 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:12:23.88 ID:FayaPCLc0
……………………

男「くぅこ、はい団子」

くぅこ「あーん…む…」

俺の最近の楽しみは夕食にでた団子でくぅこに餌付けすることだ。

自分の分が減ってしまうが俺の出した団子串に食いつくくぅこが最高に愛らしいのでなかなかやめられない。

くぅこ「…もぐもぐ」

そのあと恥ずかしそうにそっぽを向いてもぐもぐする様子もいい。


170 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:13:09.57 ID:FayaPCLc0
妖狐姫「これ座椅子!はようわらわにもよこさぬか!」

男「…はいはい」

ついでのように妖狐姫にもあげないといけないのが玉に瑕だ。

これはまあ…税金みたいなもんだろう。

てんこ「…だ、旦那様!」

男「え?」

…今日はてんこさんの説教も込みか。

やってることは確かに行儀が悪いとはいえさすがに辛い。


171 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:13:48.12 ID:FayaPCLc0
てんこ「しょ、しょの…」

男「ん?」

…なんか様子が違う?

てんこ「わた、私も…」

てんこ「旦那様の団子が…ほし、ぃ…」

男「…は」

くぅこ「ぶっ!?」

妖狐姫「ほぇ…?」


172 名前:SS速報Rがお送りします [saga] 投稿日:2017/04/18(火) 04:14:35.81 ID:FayaPCLc0
てんこ「ひ、姫様はともかく…くぅこにあって私にないというのはおかしいではないか…」




「…いいだろう?」






てんこの憂鬱

おわり


173 名前:SS速報Rがお送りします [sage] 投稿日:2017/04/18(火) 06:50:36.69 ID:fvToqSV7o
てんこの話きたか


174 名前:SS速報Rがお送りします [sage] 投稿日:2017/04/18(火) 09:40:38.90 ID:8moqVThIo
旦那様の団子(意味深)


175 名前:SS速報Rがお送りします [sage] 投稿日:2017/04/18(火) 14:20:21.38 ID:WWK4vJAcO
堕ちたな(確信)


177 名前:SS速報Rがお送りします [sage] 投稿日:2017/04/19(水) 16:01:48.98 ID:Z92mZk/A0
てんこにも悦び教えてやらないとな


178 名前:SS速報Rがお送りします [sage] 投稿日:2017/04/23(日) 11:37:37.69 ID:cGD7Rjh3o
落ちて行く所はいいぞ
おつ


180 名前: ◆hs5MwVGbLE [saga] 投稿日:2017/05/02(火) 03:46:42.14 ID:BR6G/i8m0
なうろうでぃんぐ…
(-ω-)



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